鳥居のくぐり方にも作法がある

 

 

今年も残すところあとわずか。年末年始に神社を訪れる人も多いだろうが、知っていそうで知らないのが「参拝の作法」だ。ベストセラー『神社の謎』著者の合田道人氏が伝授する。

 

 

【鳥居のくぐり方】

 鳥居には、くぐることで穢れを祓うという意味がある。そこで守りたいのは、帽子を必ず取ること。できればコート類も脱ぎたいが、天気や気温によっては脱がなくてもいい。

 鳥居をくぐる前は軽く一礼する。この礼のことを神道では「一揖(いちゆう)」という。立つ位置は鳥居の中央より左で、くぐるときは左足から踏み出す。

「左」にこだわるのには理由がある。神道では左は神、右は人を意味する。だから、神様に近づくときは、左に立ち、左足から、なのだ(異説あり)。

 鳥居が複数ある場合は、くぐるたびに以上のことを繰り返さなければならない。

 

 

【参道の歩き方】

 参道を歩くときは左側を通る。参道の中央は「正中」という神様の通り道。だから、そこに立って神様の邪魔をしてはいけない。

 途中で方向転換したり、参拝を終えて帰ったりするときも、やはり参道の左側を歩く。ただし、伊勢神宮の場合は特殊で、外宮は左側通行だが、内宮は右側通行になっている。

 

 

【手水の作法】

 鳥居をくぐり、参道を進むと、いきなり拝殿で参拝する人が意外に多い。しかし、その前に手水舎でお清めをしなければならない。

 

 具体的な手順は、
(1)柄杓の水で左手の指と手のひらを洗う。
(2)柄杓を左手に持ちかえ、同様に右手を洗う。
(3)柄杓を右手に持ちかえ、左の手のひらに水をためて、その水で音を立てずに口をすすぐ。すすいだら、左手で口元を隠しながら水を吐き出す。その後、口につけた左手を洗い流す。
(4)柄を下にして柄杓を立て、流れ出た水で柄を洗う。そして、柄杓を元の位置に静かに置く──。

 これらを最初にすくった一杯の水で行ないたいが、途中で水が足りなくなったら、水を汲み足して最後まで続けよう。

 

 逆に、やってはいけない行為も挙げておこう。水盤の中に手を入れる、柄杓に直接口をつける、水を飲む、といった行為だ──これらは、水や柄杓を穢し、穢れを体内に入れることになる。

 

※週刊ポスト2016年12月23日号